セーラーペンクリ&インク工房 at ACTクリエイターズBOX東急店(中編)

これは順番待ち中のちょっとした余談です。

インクをゲットしてチラリと横を見ると、まだ5人ほどが調整待ちでイスに座って待っています。19番の方が呼ばれているのが聞こえてきました。私の順番まではまだまだ先が長そうだったのでとりあえず本屋に行って時間を潰し、予定時刻に再び戻ってみると…
私の2番前の方のペンにてこずっておられるようでした。

なんとなく見ていると、ちょうど手が空いていた石丸さんが呼ばれ一緒に手元を覗き込んでいます。あれ、石丸さんはインクブレンドだけじゃなくてペンの調整もできるんだなぁ…と思っていると、どうやらそういうことではなかったようです。途切れ途切れに聞こえてくる話を総合すると、ペン先の裏側に何か樹脂のようなものがびっしりこびりついていて、それがインクフローに影響しているようだ、と。持ち主の方は特にかわったインクを入れたこともないということなので、どういう成分がこの樹脂のようなものになったのだろうということで石丸さんが呼ばれたようです。石丸さんもわからなかったようで、ちょっと裏手のほうに行ってどこかに電話をかけて相談しているようでしたが、そのとき持ち主さんが恐ろしいことを言い出したのです。
クロスポイントかなにか、インクを食うペンを愛用されているらしいその方いわく、どこでもインクを補充できるようにヴィスコンティのインクポットを使っているが、使っているうちに内部が溶けたような感じに脆くなってひびが入ってしまった箇所もある、と…。
そういうことならば道理で樹脂のようなものがペン先の裏を覆っているわけだということで決着したのですが、そこから面白い方向へ話が進んでいきました。

なんでも携帯用のインクポットというのは、そのヴィスコンティのものしかないそうですね。でも、インクによって内部が溶け出すようなことではおそろしくて使えないという話から、セーラーでインクポットは出さないのかという話になりました。長原Jr.さんも石丸さんも、内部をガラスにすれば…など結構アイディアをお持ちのようだったし、事実何度もインクポットを作ってはどうかという話は会社のほうにあげているんだそうです。ただ、あまり需要があるように思えないらしく実現に至っていないと。「クロスポイントもキングイーグルも、インクを食うペンはみんなこの人(長原Jr.さん)のオヤジのペンだ(笑)」と肩を叩かれ、「どうも手間かけさせちゃってすいませんねぇ(笑)」なんて返す微笑ましいシーンもありつつ。

でももし本当に樹脂が溶け出してペン先の裏に付着してしまうようなことがあるのならば、ちょっと怖いですね。

「販売が実現するのを楽しみに待ってますから」と言い残してその方が立ち去ると、次の方はどうやら透明プロフィット21で、ペン先はコンコルド的に見えました。いいですね…透明プロフィット(笑)目の保養になりました。

さてやっと私の番が回ってきましたが、それは後ほど後編にて…。