万年筆とわたくし

最初に万年筆を手にしたのは、中学生のときでした。

昔から文房具が大好きだった私は、母親と買い物などに行ったときなどにもよく文房具売り場を徘徊していたのです。
そのときに、サンリオのコーナーで風変わりな風体のペンを見つけました。
普通のペンと違いキャップと思しき部分を引っ張ってもはずれません。試行錯誤の末くるくると回してフタを開けてみたところ、鳥のくちばしのような形をしていて、しかもためし書きしようとしてもインクが出ませんでした。
なんじゃこりゃと思って眺めていたところに買い物をすませた母親が来て、それは万年筆というものだと教えてくれました。
いわく、母親は学生の頃、ブレザーの胸ポケットに赤インクと黒インクを入れた万年筆2本を挿して学校に行っていたと。
その年頃の女子は母親の真似をしたくなるものですから(笑)即座にそのペンを買ってくれと要求し、珍しくすんなり受け入れられ意気揚々と帰宅しました。

同じ頃、父親が1本の万年筆を持ち帰ってきました。今思うと、あの矢はパーカーのものと思います。
でも当時の私にそんなことが知れようわけもなく。
グリグリとニブを押し付け、先がパックリと割れるのをしげしげ眺めてたりもしました。
そのせいか、フローは潤沢でかすれ知らずでしたけども…(笑)

そうしてペンを2本確保した私は、それぞれに黒と…パーカーのペンにはもともと黒いインクが入っていたので、新しく買ってもらったほうに赤いカートリッジを挿し、制服の胸ポケットに挿して行くようになりました。
家でももちろん万年筆ばかり使っていました。
当時の中学生女子の習性として毎日手紙を書いて友達と交換したりしていたもので、インクの減りは結構早かった気がします。

高校に入るときには、イヴ・サンローランの万年筆を買ってもらいそれに青インクを入れて、3本を持っての通学でした。
それも高校を卒業する頃には普通の筆記用具を使用するようになっていた気がします。
当時ハイブリッドというゲルインキのペンが出始めた頃で、それを使うのが流行っていたのです。
その後も手紙を書く時や、サンリオでケースつきかつ金メッキ風のニブがついたペンを見つけて買ってみたり、ちょこちょこ使っていたのですが…
就職する頃にはまったく忘れ去ってしまいました。